こんにちは。LCAコンサルタントの小野あかりです。
年度末を迎えるこの時期、2024年度を少し振り返ってみたいと思います。
今年もサステナビリティをめぐる動きは活発で、なかでも企業にとって避けて通れないテーマの一つが 「Scope3」 だったのではないでしょうか。
制度や規制の整備が進むと同時に、Scope3に対する企業の向き合い方も変化した、そんな1年だったように思います。
これまでは「排出量をどう測るか」が中心でしたが、今はそれに加えて 「どう活用するか」「どう社内外に伝えるか」 が問われるフェーズに入ってきています。
今回は、そんなScope3に関する2024年度の重要トピックを10個に絞ってお届けします。「何が起きて、今後どう備えるべきか」が整理できるよう、ポイントを簡潔に解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
Scope3の重大ニュース10選
11.おわりに
1.SBTiが方針を再整理:バリューチェーン排出の重要性が再び
SBTi(Science Based Targets initiative)は2024年に入り、サプライチェーン全体の排出削減に対して「より実効性のある対応」を呼びかける動きを強化しました。特に、Scope3を多く占める企業に対しては、「目標の厳格化」や「サプライヤーとの関係構築」が重視される方向に。
◆ このニュースのポイント・・・ SBTiがバリューチェーン全体の排出削減をより厳しく評価する方針へ。
Scope3の対応がSBT目標の信頼性を左右。
◆ 担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・ Scope3の構成比を再確認し、優先カテゴリ(例:カテゴリ1, 11)への削減計画を立てましょう。
2.SBTi FLAGが本格運用へ:土地利用の排出もScope3と直結
森林・農業・土地利用(FLAG)に関するSBTiのガイダンスが本格的に運用開始されました。食品業界など、カテゴリ1(購入した製品・サービス)にFLAG排出を含む企業は、個別のFLAG目標の設定が求められます。
このニュースのポイント・・・ 食品・農業・繊維業界などで、土地由来の排出(FLAG)の開示と目標設定が必須に。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・ 自社製品に農業・林業由来の原料が含まれているかチェック。
必要ならFLAG対応も視野に。
3. SBTi「Fossil Fuel Finance」公開:金融業界のScope3も転機に
2024年、SBTiが金融機関向けに化石燃料投融資に関するガイダンス案を公開しました。これはカテゴリ15(投資)に関係するもので、Scope3を通じた「投融資先の排出責任」をどう扱うかが注目されています。
このニュースのポイント・・・
金融機関は、融資・投資先の排出量(カテゴリ15)をScope3として開示・管理する時代へ。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
投資や融資先の排出量や方針を確認し、開示・エンゲージメントの方針づくりを始めましょう。
4.SSBJがサステナビリティ開示基準を公表:Scope3全体での算定・開示
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)がサステナビリティ開示基準を公表したことで、実証から実装フェーズへと進展。SSBJ基準では特にScope3(バリューチェーンで発生する間接排出)の開示が強調されています。
このニュースのポイント・・・
サプライチェーンの実データ共有が加速。カテゴリ1の算定精度が今後飛躍的に向上へ。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
主要サプライヤーと排出原単位やデータ連携について話し合う準備を。
SSBJの動向も定期チェック。
5.原単位データベースが拡充:より“実態に近い算定”が可能に
LCA関連機関によって、排出原単位データベースの内容が更新・拡充されました。特に、製品別・工程別・業種別のデータが充実してきたことで、Scope3算定の精度が着実に向上しています。
このニュースのポイント・・・
EcoinventやIDEAのような原単位DBの内容がより詳細に。業界別・製品別での活用が進む。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
自社で使っている原単位データの更新状況をチェック。
可能であれば最新版に置き換えて算定精度アップを。
6.EU CSRD・ESRSの発効:Scope3開示は“マスト”に
2024年から適用が始まったEUのCSRD(企業持続可能性報告指令)では、Scope1〜3の排出量開示が原則義務とされています。EUに取引先がある日本企業も、対応を求められるケースが増えています。
このニュースのポイント・・・
EU取引先がある企業では、Scope3開示要請が実質“避けられない”ものに。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
EU顧客や子会社の存在を洗い出し、求められる報告範囲と内容を早めに把握しておきましょう。
7.日本企業のCDP回答数が過去最多に:Scope3の“見せ方”も問われる
2024年、CDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)に回答した日本企業は過去最多に。Scope3の開示内容は評価にも大きく影響し、「データの質」や「削減ストーリー」の重要性が増しています。
このニュースのポイント・・・
Scope3開示が評価に直結。単に「出す」だけでなく、「どう語るか」が差を生む。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
CDP回答内容を見直し、「Scope3削減の取り組み・目標・成果」を明確に書き出す準備を。
8.サプライヤーエンゲージメントの評価が上昇傾向に
Scope3の信頼性を高めるうえで、「サプライヤーとの協働」がキーワードに。SBTiやCDPでも、エンゲージメントの度合い(調達条件への組み込み、データ提供依頼など)が重視されるようになっています。
このニュースのポイント・・・
サプライヤーに「単にデータ提供を求める」だけでなく、「一緒に取り組む」姿勢が評価される時代に。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
Scope3カテゴリ1やカテゴリ4の上位サプライヤーと、年1回の情報交換やワークショップの場づくりを。
9.Scope3カテゴリごとの“得意・不得意”が見え始めた
カテゴリ1(購入品)は対応が進む一方、カテゴリ11(販売製品の使用)、カテゴリ12(廃棄)などは対応が遅れ気味。「カテゴリ別の重点戦略」が必要であることが多くの企業に認識され始めました。
このニュースのポイント・・・
カテゴリ1・4は進んでいても、カテゴリ11・12は未対応な企業が多い。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
Scope3カテゴリごとに「算定状況・データの質・削減計画」のマトリクスを作り、優先順位を整理しましょう。
10.“Scope3疲れ”も… 担当者の声から見える本音と課題
「データが揃わない」「社内の理解が浅い」など、Scope3の“見えない苦労”も浮き彫りに。2024年は、「どう測るか」より「どう社内を巻き込むか」に悩む担当者の声が多く聞かれました。
このニュースのポイント・・・
社内理解の不足や孤独感がScope3の継続的対応の障壁に。
担当者のかたは、こんな準備をしておくと安心かも・・・
定期的に部門横断の情報共有会を設けることで、「孤軍奮闘」を防ぎましょう。成功事例を社内で共有するのも◎
おわりに
2024年度は、Scope3の重要性が一層高まり求められる対応も高度化するなかで、現場の理解が追い付いていないなど、実情とのギャップが浮き彫りになった年だったとも言えます。
2025年度は、そのギャップを埋めるべく「共通基盤づくり」や「分かりやすさ」「巻き込み力」が一層求められそうです。
当社では算定支援のみならず、
1. Scope3について理解を促しつつ、
2. Scope3を活用することで成し得る企業成長(出口戦略)について話し合い、
3. 算定に向けたイメージ・具体的なステップの共有を行う
といったような内容のワークショップを社員のみなさんと行うことも得意としております。
社内の業務に集中しつつ、企業としてサステナビリティ経営に向けて1歩1歩確実に進んでいくために、ぜひ我々のようなコンサルタントを活用していただければと思います。
Scope3を共通言語にしたいのだけど、自分の言葉では伝わりきらないかも・・・などのお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談下さい。

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